キャスティングリズム2010-02-28(Sun)

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photo by tadanobu shindou

最近はDVDや動画サイトが普及したことにより、フライフィッシングの映像を見る機会が増えた。
いろいろな方の釣りを見ることが出来てありがたい。

気が付くのは一様にキャスティングサイクルが早いこと。
ラインスピードも速い。

自分の求めているキャスティングはもっとゆっくりとしたリズムのキャスティングである。

5年前までの自分は、スピーディーな釣りを志していた。
1kmの釣り場を1時間で釣り上がるような事をやっていたので、フォルスキャストもプレゼンテーションもラインスピードを上げていた。
必然的にラインベリーは真っ直ぐと張られたラインである。
高いロッドティップから目標まで、ピンと張ったラインが伸びて行くのを求めていた。
ミス無くプレゼンテーションが続くと、スピーディーな釣りについつい陶酔してしまうこともあった。

「釣れるリズム」というものがあるのではないかと、ずいぶん前に池田浩悦氏と話をしたことがあった。
サクラマス釣りでの事であったが、その頃はスピーディーな釣りをして如何にサクラマスにフライを見せられるチャンスを多く持てるかという事で、ほとんど休み無しで釣りをしていた。
さすがに一日中神経を張りつめて釣りは出来ない。
大事な時だけ集中できるように自分をコントロールしないと、終日保たなくなくなってしまう。
プレゼンテーションの時に特に集中し、後はリラックスしている。

サクラマスが釣れる時は、釣ろう釣ろうと神経が張りつめているときよりも、気が抜けているような時のほうが多い。池田さんもゆったりとした気分が大事だという。
それを意識してからと言うもの、殺気を消すようにゆったりとした気持ちで釣りをするようになった。

ドライフライの釣りでも同じくゆったりとした気持ちが大事で、殺気は宜しくないようだ。
水面のフライを注視する意識が薄れ、あらぬ方を見ていたりしたときに限って、大物がドライフライをくわえることは何度も経験がある。

渓流釣りでは「木化け、石化け」なる言葉がある。
これも殺気を消す技術に違いない。

以前に何度か池田浩悦氏と釣りに行く時にビデオカメラでお互いの釣りを撮影したことがあった。
お互いが写っているので比較するのに都合がよいのだが、明らかに違うのはキャスティングのリズムであった。

自分はロッドをピュッピュッと振り、慌ただしいように見える。
一方池田さんはゆったりとロッドを扱っている。
ゆっくりとしたリズムであるが、しっかりとラインを張りスラックの無いスロー気味なラインでキャスティングをする。あえてラインスピードを上げていないということに気が付いた。見ていて優雅という感じがする。

それからというもの、ゆったりとしたキャスティングリズムの釣りを心がけている。

早くロッドを振りながら釣りをすると、同じリズムでロッドを振るように体がコントロールされ、魚がフライをくわえたときの合わせの動作もついつい速くなってしまう。
細いティペットでは合わせ切れを起こすかもしれないし、ビュッと速いスピードで合わせるよりもスッとロッドを立てるような合わせの方がフッキングが確実に決まりやすい。

素早いフォルスキャストは傍目に格好良く写るかもしれないが、早く動くものは魚から目立ってしまう。
水面上からは鳥等の外敵が狙っていたりする為、常に水面上は気にしているであろう。
早く動く物は特に目立ってしまうので警戒されやすいのは当然である。
例えば野生動物が獲物に近づくときは、射程距離までは相手に気づかれないよう激しい動作はせず目立たぬよう静かに近づいていくものだ。
渓流を釣り歩くときも同じで、魚に感づかれないようにゆったりとした動作が必要になるのである。

魚が違和感を感じさせない距離で一度か二度のフォルスキャストをし、プレゼンテーションは必要最小限なラインスピードでシュートするのが最善のプレゼンテーションであろう。
ドライフライは水面上50cm程でターンを終え、フライが重力だけで水面に落下するようなプレゼンテーションが理想だと思っている。
本物の虫も重力で落下するのを考えれば、ドライフライのプレゼンテーションの理想は、ティペットのターンの力が完全に無くなってからの自然落下が大事になってくる。

ウエットフライの場合も、ラインスピードを抑えて、ターンが強くなりすぎないようにコントロールする。
フライがターンし終えたところが水面で、優しくスッと水中に馴染むようなプレゼンテーションが良いように思う。
水面に飛沫が上がるようなプレゼンテーションは特殊な場合に限って有効である。

厚く巻いたスタンダードパターンやスピナーパターンのドライフライを使って釣りをすると、ティペットが撚れるという話も未だによく聞くが、これもラインスピードが速すぎるのが原因である。
もちろん長すぎるリーダーシステムや、細すぎるティペットでは、ラインスピードを抑えたからと言って限界はある。

以上のようなことから、ドライフライもウエットフライも、ラインスピードを上げすぎてはデメリットが多い。
ラインスピードは状況に合わせて使い分ける事が大事で、無駄に早いラインを投げることは全く意味のない事である。

静かな動作で優雅にゆったりとしたキャスティングリズムは、傍目には緊張感に掛けるように見えるかもしれない。
しかし見るものを圧倒させるような凄味のあるキャスティングは、釣り向きではないようです。
ラインベリーの張ったスロースピードラインがフライフィッシングの奥義かもしれない。

いろいろな釣りの達人に共通しているのは、無駄のない落ち着きはらった動作である。

開高健氏曰く「悠々として急げ」が自然と行えるようになりたいものだ。

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