師匠・池田浩悦氏の事2009-01-02(Fri)

池田浩悦氏はボクのBlogに度々登場しているのだが、フライ歴30年の大ベテランである。
ボクはここ数年池田さんとご一緒する機会が多いのだが、池田さんから学んで来たことは数限りない。技術もさることながら哲学も学ぶべき事が多かった。
未熟な自分が大先輩の釣りについて語るのもおこがましいけれど、池田さんからお許しが出たので載せることにした。
ここでボクが伝えたいことは釣りの技術のことよりも、池田さんのフライフィッシング哲学とはどのようなものかお伝えしたいからだ。

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ヤマメ40.5cm
池田さんは鮭鱒族のフライフィッシングオンリーで、フライフィッシングに対してとてもストイックである。フライフィッシングはそんなに簡単に極められるものではないから他の釣りをしている暇は無いと、頑ななまでに他の釣りを拒む程の生粋のフライマンである。

ダブルハンドのサクラマス釣りから渓流のドライ、ウエット、止水のニンフまで幅広い。
全てのジャンルで卓越した技術を持っているのだが、渓流の釣りだけ取ってみても確固たる信念をもっている。
大物ヤマメの釣りといえば川幅の広い本流という感じがするが、池田さんの場合はウエットをダウンで流すような釣りではなく、一般的な渓流域でのドライフライである。
本流では尺ヤマメは平均サイズだが、渓流のヤマメでは尺あれば今も昔もトロフィーサイズであろう。
池田さんの場合は渓流域で、憂に尺を越えるライフレコードを狙っているのだ。

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ヤマメ40.5cm

スタンダードフライの10番に14ft前後の4Xリーダーが標準である。
時には8番のドライフライに2X、3Xのリーダーシステムにすることもある。
その事からも判るように、小物は対象としておらず大物釣りに徹している。

必要以上に道具に頼らず、技術を持って攻略するのが池田さんの流儀。
本物の虫に似せる事に執着せず「フライらしい綺麗なフライ」で、魚に気づかれないような距離から「美しいループ」を延ばし、魚がなんの躊躇いもなくフライを捕らえるような「絶妙のプレゼンテーションとナチュラルドリフト」をするのが、洗練されたフライフィッシングの美学だろう。

沢田賢一郎さんの「達人の世界」という本に、達人とはどんな人かと言うことが書かれているが、池田さんはまさしく達人である。マインドアングラー誌でも沢田さんが池田さんのことを達人と認めている。
池田さんと話をしていると、池田流の哲学は沢田さんに通じる物がある。

池田さんは1980年頃から15年間に渡り、沢田さんを何度も案内してきたから当然であろう。
沢田流のフライフィッシングとはなんたるかを語ることの出来るフライマンはそう多く居ないのではなかろうか。

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振り子状にしたバックハンドキャスト

沢田さんのところからは多くの著名なフライフィッシャーが輩出された。
池田さんもそのうちの一人で、沢田流の哲学を実戦してきた数少ないフライマンである。
沢田さんからたくさんの技術を継承しつつ、哲学に則って進化させてきた。
この哲学に則って進化するか否かが実は大切である。その本質を崩さずに進化させなければ全く別物となってしまうのだから。

多くの人たちは上達するにつれ自分流のフライフィッシングが頭をもたげ、なりふり構わず釣果を求め、また釣りの手段を選ばなくなってしまう。
本質は忘れ去られ、挙げ句の果てに自分が正しいと主張するために、今まで習ってやってきたことさえ否定し始める。高慢な精神がないからであろう。

池田さんは沢田さんの哲学に則って「キャスティング」「タイイング」「フィッシング」の三本柱のどれひとつとして疎かにしていない。
池田さんはそういった精神で釣りをしているので今の技術にまで到達したのだろう。
道具に頼りっきりではなく、技術を高めることで困難なことを可能にする業を拾得してきた。

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ヤマメ36cm

魚釣りだからたくさん釣りたいのは池田さんも同じだが、自分のルールの中で楽しんでいる。
渓流の深みに沈んでいるヤマメを見つけたとしよう。ドライフライで釣れるポイントであれば、ドライフライで釣り上げることに執着する。
濁りが入りでもしてドライが無理な状況でなければウエットフライを結ぶことがない。
これは自分なりのルールであって、そこにドライフライのエキスパートの哲学が垣間見られる。
他の人ならニンフを流し込むことだろう。
せっかく出会えたトロフィーを、自分の納得行かない方法で釣り上げても虚しさが残るだけだというのを知っているからだ。

池田さんの釣りは自然の流れに逆らわず自然と同化しているようだ。
キャスティングひとつとってもせかせかと早く振ることをせず、必要最小限のラインスピードを維持し、少ない回数のフォルスキャストで静かにプレゼンテーションをさせる。
一見何気なく行っている動作が、実はおいそれとは出来ないような事ばかりだ。
同じ場所に立って自分もやってみればその事がどれだけ難しいことか、また自分が如何に下手なのか気が付くだろう。

この場でテクニックを解説してもたぶん伝わらないであろうから書くのは止めるが、簡単に表現するとすればフライフィッシングの三本柱の、基本動作の応用技術である。

ショートストロークのキャスティングが出きれば様々な応用が効き、ポイント毎に合わせた攻略が出来る。これは「キャスティング」技術が必要だ。

離れた場所からでもよく見え、波立つ流れを物ともせずにナチュラルドリフトしてくるようなフライを使う必要もある。
そのためにはスタンダードパターンが有利だし、浮力を稼ぐためにタイイングを工夫する。これにはタイイング技術」が求められる。

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15yd先でアワセが決まった瞬間

それらの技術を駆使し、その時々の状況に合わせて魚の動向を読み、魚がなんの躊躇いもなくフライをくわえるような釣りをする。
数多く釣り場へ出向き体得するしか無いのだろうが、豊富な経験から最善の読みが出来る。
これが「フィッシング」の技術。

それらが出来るようになると大物が釣れるようになってくる。
しかしそうは言っても自然相手。時には面白いくらい魚が釣れることもあれば、攻略できない魚と遭遇することもある。池田さんでさえいつもいつも思ったとおりにいかないという。
いかなる状況であろうとも最善の釣りができるように技術の向上を惜しまない。
釣りたいという意気込みが並はずれているから、朝早くから夕方まで休み無しで渓を闊歩する。

たまにしか釣りをしない人でも釣れる状況とポイントを心得ていれば、技術が無くても大物を釣り上げる。こういった人とは「格」が違うのだ。

池田さんのようにフライフィッシングの三本柱である「キャスティング」「タイイング」「フィッシング」全てを高いレベルで実践できる人とはなかなか出会うことがない。
キャスティングだけ、タイイングだけ、釣りだけとか、精々のところ二つは上手いが一つ欠けているという人なら世の中には居るだろう。確かにキャスティングの達人や優秀なタイヤーや釣り名人かもしれないが、それではフライマンではないと池田さんは言う。

ボクが知る限りでは岡崎の平岩さんも池田さんと比肩する方である。
それを越えるフライマンは沢田賢一郎さんくらいではなかろうか。
池田さんは今でも沢田さんの釣りを尊敬し、目標としている。
信頼できる師匠であればこそ一生涯の目標とできるのだろう。
師匠のことを敬い続けることの出来る池田浩悦氏がボクの師匠で本当に良かったと思う。

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