ティップの役割2007-02-14(Wed)

キャスティングレンジが広い竿はロッドのティップ部分が太い。
ボクが知っている限りではペゾンもそうだしKenSawadaロッドもそうだし、ジーニアスロッドもそうだ。

キャスティングレンジを幅広くしようと思ったら、ライン負荷によってティップからバットまで竿全体がスムーズに働いてくれなければならない。

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2005年初冬。KenSawada「ARランドロック15ft#12」で鮭とファイト中。

しかしティップをただ太くすれば良いってものではなく、ティップが強すぎてはフッキングに問題ができたりするから尚更難しい。
また、ティップの太さとそれに見合ったテーパーデザインがバランス良くとれていなければならないようだ。
ファーストアクションもあればスローアクションもあるし、短いロッドから長いロッドまであるためさまざまなロッドが生まれるのであろう。

巷にはティップの繊細さを追求したフライロッドもあるようだが、この手のロッドはロッドティップがライン負荷に負けやすいのでキャスティングの際に非常に気を遣うことになる。
ティップが繊細な竿は釣り針を沈めて釣るニンフやウエットならばその意図は分からなくもない。しかしこれはあくまでもキャスティングを必要としなければの話だ。
釣り針を捕らえた魚に違和感を与えないようにするために、追従性の良いティップを使うというのは餌釣りなどでは基本だ。しかも強い胴はアワセをしやすくしたり、仕掛けを操作しやすくなる。

ボクは20年ほど前、和竿屋に勤めていたので知っているのだが、黒鯛の「へち竿」というのがある。普通これは極端な9:1アクションで、渓流の餌釣り竿と同じくらいの非常に細いソリッドグラスの穂先になっている。40cm程のグラス部分の穂先に繋がっている胴部分の竹(布袋竹や丸節竹)はテーパーのきつい素材を使用している。非常にしっかりとした強いアクションになっている。
へち釣りの場合、ガン玉と細いハリスを使ってゆっくりと堤防の際を落とし込んでいく。
魚が釣り針を捕らえたことを知るのは糸フケで取る。蟹や貝など硬い餌を黒鯛が捕らえた場合、硬い餌をかみ砕くため糸から伝わる違和感が大きければ魚が吐き出してしまう。そのために非常に繊細な穂先を持っている。
この極端な9:1調子でも、絶妙なアクションにより50cmクラスの黒鯛を掛けても取り込むことが出来る。しっかりとした胴部分は大物に対処するためだ。
穂先が繊細な竿はこういった釣りに適っていると思う。

ところが黒鯛のへち竿にもスローテーパーの胴調子の竿がある。総布袋竹のへち竿だ。
まるでフライロッドのようなアクションで、大物を釣ったら心配になるような細さの竿なのだ。
竿先から手元まで一本の竹を使って真ん中を印籠継ぎ(フライロッドで言うスピゴットジョイント)で繋いでいる。素材の竹は布袋竹というのだが(手元は淡竹を使って太くして握りやすくしてある)、この布袋竹は柔軟性に富み、強靱な竹で、まさに釣り竿用に生まれてきたような竹である。磯の石鯛竿なんかもこの布袋竹で3本半や4本継ぎでこさえてあるし、渓流用の竿の穂先も布袋竹を使っている。
この総布袋竹のへち竿に黒鯛が掛かれば手元から釣り竿が満月に撓る。
食い込みも良く、掛けてからの粘り強い溜めがバラシを少なくするらしいのだ。
これは、スローテーパーのアクションがなせる業であろう。

また、渓流の餌釣り竿とヘラブナ竿とを比較して考えてみたい。
渓流竿は脈釣りなので特に敏感な竿先が要求され、しかも流れる餌を操作するためにしっかりした胴の方が扱いやすい。また、強めの胴が瞬時のアワセをするのにも向いている。
だから7:3調子や8:2調子になる。

ヘラブナ釣りは浮き釣りである。最近は先調子のへら竿もあるようだが、もともとは本調子といって胴に乗ってくる竿だ。
へら竿はスローテーパーロッドで、穂先も真竹の削った物を二枚合わせにしてあり、渓流竿に比較すると太くなっている。
へら竿は浮きでアタリを取るため、しっかりと針アワセできる力を伝えられる竿先が要求される。釣り針から竿先までの間の糸には程々の弛みがあり、渓流の餌釣りほど強い張力が働いておらず、この点はドライフライの釣りと同じだ。

話は随分とそれたが、釣り竿というのはその用途に合わせた全体のバランスが大事で、フライロッドにおいてもその用途にあわせたアクションが必要だと思うのです。

弱すぎるティップは振動を起こしやすくなったりキャスティングレンジが狭くなってしまう。細いティップにすればどうしてもティップアクションになりがちで、極端に細くなると一定の長さのラインしかティップが支えきれなくなってしまうからだ。
ティップアクションが悪いというのではなく、用途に合わせてバランス良いアクションに仕上げてあれば良いと思うのです。

フライロッドでもシューティングヘッド用のロッドは、一定のライン負荷が使いやすいように設計されています。そのほうが、決まった長さのシューティングヘッドを投げるのに都合がよいからでしょう。もちろんバランスの良いティップアクションロッドはプログレッシブに力が伝達してくれる為、その許容範囲がとても広くなっている。
フライロッドはキャスティングが重要な要素を締めています。だから渓流などフルラインを使う釣りであれば尚更幅広いレンジに対応できるキャスティング能力が重要だと思うのです。
キャスティングの技術を引き出せるのは優れたアクションのロッドであればこそ。これも使いやすさを追求した結果だと思うのです。フライロッドの本質とはここにあるのではないでしょうか。

しかしキャスティング重視のロッドが釣り道具として最高で、これ以外の物はダメですということではありません。

アンティークなロッドなどはそれぞれにいろんな個性があるようですが、その事を理解した上で楽しむ釣りも面白いと思います。所詮遊びですから自分が楽しめれば良いということですね。

例えてみれば、ミニクーパーを選ぶかNSXを選ぶかみたいな事でしょうか。
高性能のクルマやロッドであれば、技術が無くても早く走れたり、遠くまで飛ばすことは出来ます。
しかし性能をフルに出し切って貰うためには高度な技術があってこそです。技術があって始めてどちらの個性も引き立てられるってものではないでしょうか。

| fishing Tackle

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